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【鉄道車両基礎講座】 その3 電車と気動車の違い

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↑ 水郡線で運用されるキハE130系。日本の気動車はほとんどがディーゼル機関です。

 前回は動力分散方式について説明し、旅客輸送においては現在の日本では動力分散方式がその主流となっていることを記述しました。

動力分散方式の車両を大きく分けると、電車と気動車に分かれますが、現在の日本では電車が主流となっています。

それでは、気動車と電車の違いなどについて少し書きます。

(最近では、気動車と電車の垣根を超えたハイブリッドの車両も多数出てきていますが、基本わかり易く解説したいので、とりあえずこれらの説明は保留します。)

 

電車と気動車の動力源

電車と気動車の大きな違いは、動力源です。

電車は、電気を動力源として電動機(電気モーター)を動かして走行するのに対して、気動車内燃機関(エンジン)を動力源として走行します。

なお、内燃機関を動かして発電を行い、この電気を用いて走行する場合は、気動車に分類されます。

話は少し本題から外れますが、皆さんの中で乗用車も運転される方も多いと思います。

普通乗用車や軽自動車では、内燃機関(エンジン)は一般的にガソリンエンジンディーゼルエンジンが使用されています。

また、それよりも大きいトラックやバスでは、ディーゼルエンジンが主流です。

ディーゼルエンジンは、一般的には大型の内燃機関としては最も熱効率と安全性に優れているとされ、大型船舶などの内燃機関でも主機関として広使用されています。

鉄道においても同様で、現在の気動車はそのほとんどがディーゼルエンジンを搭載しています。

このため、気動車のことをディーゼル動車」またはディーゼルカーとも呼ばれたりしています。

 

内燃機関と電動機の違い

動力源としての内燃機関(エンジン)と電動機(電気モーター)の違いについて、簡単に説明します。

まず1つ目の違いはアイドリングについてです。

通常、自動車を運転するときは、最初にエンジンを回してアイドリング状態にしてから、車を発進させています。

このように、内燃機関では燃料を燃焼させその熱膨張の力を動力に変換していますので、基本的には先に始動させておく(アイドリング状態にしておく)ことが必要なります。

これに対して、電動機は電気を用いて磁力を発生させて動力に変換しているので、事前始動の必要はなく、理論上は完全停止の状態からいきなり運転することが出来ます。

次に2つ目の違いは、出力の特性についてです。

自動車を発進させるときは、クラッチをつなぎ、アクセスを踏んで車を動かしています。

このとき、アクセスを踏むことにより燃料がエンジンに送り込まれ、エンジンの回転数を上げて、車を動かすための出力を出しています。

内燃機関では、高い出力を引き出すためにはある程度回転数を上げる必要があり、それなりにアクセスを踏まなくてはなりません。

この特性は、その種類(ガソリンかディーゼルか)によっても大きく異なりますが、内燃機関では、燃料効率が良く高出力を引き出せる回転数の範囲は決まっていますので、ただやみくもにアクセスを踏んでも無駄に燃料を消費するだけで、車を効率良く動かすことはできません。

電動機の場合は、その出力(パワー・トルク)は回転数に比例し、内燃機関に比べて回転数が低いうちから高い出力を引き出すことができます。

待機電力ゼロの状態から、電流を流せばすぐに最大出力に達することができ、加速についても内燃機関よりも上回っています。

 発進時や中間での加速発進では、電動機は内燃機関よりもパワフルであり、電動機の回転速度や発生トルクは電圧や電流などを調整することで、自由にコントロールすることができます。

ところで、エネルギーの形態を変換した際の効率又は有効に利用できる割合をエネルギー変換効率と言います。

この値が高いほど変換した際の損失が少ないことになります。

ある資料によると、内燃機関と電動機のエネルギーの変換効率は、ガソリンエンジンで30%、ディーゼルエンジンで40%程度であるのに対して、電気モーターでは80%以上だそうです。

この数値がどのような基準で算出されたのかは分からないのですが、少なくとも電動機は内燃機関に比べてエネルギーの無駄がない、効率の良い動力であることは間違いなさそうです。

 

電車・気動車のどちらが良いか

それでは、電動機を搭載した電車と、内燃機関ディーゼル機関)を搭載した気動車では、どのような違いがあるのでしょうか?

大きな違いの一つに車両の重量があります。

電車の場合、動力源となる電気を外部の電化設備から取り込む為、車両には電動機と電気を制御する機器などを搭載すれば動かすことができます。

これに対して、気動車の場合は、高い出力を得るために編成中の各車両にエンジンを搭載し、かつ燃料も搭載しなければなりませんので、どうしても電車よりも気動車の方が車体は重くなってしまいます。

気動車よりも電車の方が車両の重量、製造コストや保守メンテナンスにかかるコストを低く抑えることが可能で、車体重量の軽さから軌道に与える影響も少なく、こちらの保守メンテナンスを軽減することもできます。

但し、電車を走らせる為には、変電所や架線敷設など、走行する路線が電化されていなければならず、このためには大きな初期投資と保守費用が必要で、ある程度の乗客の利用(=営業収入)が見込まれなければ採算が取れません。

まだ、電化方式の違い(直流・交流の違いや電圧など)から、その路線の電化方式に対応した車両でなければ、走行することができません。

気動車の場合は、燃料を搭載して走行する為、電化設備は必要ありません。

単純には、線路さえあれば走行することができます。

その為、列車の運用本数が少ないなど、電化の設備投資に対して採算の合わない路線では、無理に電化せずに非電化のまま気動車を運用した方がコストが見合うのです。

実際に、電化設備があるにもかかわらず、経費節減の為に設備を休止・または撤去して、列車を電車から気動車に切り替えた路線もあります。(既に廃止になっていますが、くりはら田園鉄道名鉄八百津線などがその事例)

他にも別の理由で、電車でなく気動車で運用される例はたくさんありますが、これらはあらためて別の機会紹介したいと思います。

電車と気動車のどちらが良いかは、一概には言えず、実際には、その各路線の状況や条件によってあった方式の車両が運用されています。