↑ HD300は、DE10など構内入換機の置き換え用として2012年に量産化が開始されました。
HD300は、老朽化したDE10などの構内入換機の置き換え用として登場した機関車で、排気ガスやCO2の排出抑制、運転時の騒音低減を目的としたハイブリッド機関車となりました。
ハイブリッドシステムといっても複数の方式がありますが、HD300で採用されたのは「シリーズハイブリッド」と呼ばれる方式で、駆動はモーターのみで行われ、エンジン発電専用となります。
エンジンの動力は一度電気エネルギーに変換され、蓄電池に蓄えたエネルギーと電気的に混合されてモーターを駆動します。
この方式だと電車・電気機関車に準じた駆動系の仕組みが転用可能で、コスト増となる変速機や減速機の新規設計が不要で、メンテナンスもしやすいなどもメリットもあります。
発電用ディーゼルエンジンは水冷4ストローク、直列6気筒、出力270psで、これを駆動して三相交流を発電、これをコンバータで直流に変換され、1C1M構成のインバータで80kWの永久磁石式同期電動機(PMSM)4台を個々に駆動する仕組みです。
車体はセミセンターキャブタイプで、全長14.3m、前位側から主変換モジュール・蓄電池モジュール・運転室モジュール発電モジュールと、車体を4分割したモジュール構造とし、メンテナンスの簡素化を図っています。
運転台はDE10同様、進行方向対して横向きとなっています
構内の入換用として開発されたため、最高速度は45km/h(無動力回送時は110km/hが可能)となりました。
2010年3月に試作車(901号機)が新製され、各種走行試験を実施、その結果を踏まえて2012年以降に量産車の増備が開始され、2015年3月時点では、試作機や寒冷地用の500番台3両を含め、首都圏を中心に全国の主要貨物駅などに17両が導入されています。
HD300は、本線用電気機関車と変わらない程度の新製費用がかかり、初期投資が大きいことから、入換作業の密度が高い貨物駅を重点的に投入・配置され、密度が低い貨物駅では電車線を増設して電気機関車により入れ替えが行われることとされています。
↑ 八王子駅構内の入換作業に使用されるHD300。
↑ 入換作業に特化した設計のため、最高速度は45km/hです。
↑ 全長14.5mで、車体は4分割化したモジュール構造です。
↑ 郡山駅構内でタキの入れ替えに使用されるHD300
↑ 1エンド側、側面の様子
↑ 運転席付近、側面の様子
↑ 2エンド側側面の様子
↑ 2エンド側前面の様子