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【鉄道車両基礎講座】 その9 交流電化と周波数について

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↑ 2007年3月まで常磐線上野口で運用されていた交直流形電車の415系。

 交流の周波数について

前回は直流と交流の違いと、それぞれの電気を採用した場合の電化方式や運用される車両(電車)について記載ました。

再度の説明になりますが、交流の定義は次の通りです。

「交流とは、その流れる向きや電流・電圧が周期的に変化するもの」

交流の流れの推移をグラフで表すと、その周期は波形を描きます。

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この一つの山と谷のカーブの波形を「波動」と呼び、単位時間あたりに繰り返される波動の数を「周波数」といいます。

1秒間に発生する周波数の単位は「ヘルツ(Hz)」です。

例えば、1秒間に波動が1回発生する場合は1Hzで、1秒間に3回発生する場合は3Hzとなります。

交流電気の周波数については、もっと大きな単位の「キロヘルツ(kHz)」を使用します。

キロヘルツの単位は次の通りです。

1キロヘルツ(kHz )=1000ヘルツ(Hz)

 

東日本の西日本の周波数の違い

電力会社から事業者や一般家庭に提供される電気(商用電源)は交流です。

本来、国内に供給される電気の規格は統一されるべきなのですが、日本の場合は同じ交流でも周波数は統一されておらず、東日本地域は「50Hz」、西日本地域は「60Hz」と分かれています。

日本で電気が使われるようになったのは明治時代の頃で、当時は発電機を海外から輸入して発電していました。

東京にはドイツ製(50Hz)の発電機、大阪にはアメリカ製の発電機(60Hz)の電気が輸入され、そこから電気供給のインフラが普及したため、このような構造が生まれました。

その後、周波数を全国的に統一統一しようという動きや話し合いもあったそうですが、上手くいかず、現在は新潟県の、糸魚川静岡県天竜川を結ぶ線を境にして、西側を「60Hz」、東側を「50Hz」とされました。

その地域で使用される電気器具は、交流であれば供給される電気の周波数に対応したものでなければならず、周波数の違いを誤ると機器を傷めたり性能が低下し、場合によっては、火災の原因となります。

現在の電気機器は「50Hz/60Hz」の両方対応しているものが多いのですが、型式の古い洗濯機や衣類乾燥機、電子レンジや非インバータの蛍光灯などは単独の周波数しか対応していないものが多いので、例えば東京から大阪に引っ越しするときなどは、そのままでは使えず代替えや部品交換などが必要になります。

 

交流電化と周波数

 日本の交流電化は、仙山線仙台-作並間(50Hz)での総合検証を経て、1957年に北陸本線田村-津軽間(60Hz)で、さらに1959年に東北本線黒磯-白河間(50Hz)が電化されました。

北陸本線に導入された、日本初の量産型交流用電気機関車となったED70は、60Hz対応ですが、その後東北本線の交流電化用として登場したED71は50Hz対応となりました。

ED71は、ED70をベースに出力アップを行った改良型で、同じ交流形でも対応する周波数が異なる為、同一には扱えませんでした。

例えば、ED71は周波数が60Hzである上記の北陸本線区間では走行できません。

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↑ 東北本線船岡駅前で静態されるED71。50Hz用のため西日本の交流区間では使用できませんでした。

このように、交流電化の場合は同じような目的でも周波数の違いから同じ車両をそのまま導入することが出来ず、地域の周波数に合わせて車両の設計を変える必要がありました。

 

交直流電車における周波数による制約

電車については、直流区間への直通運転を考慮して、交直流形電車が導入されましたが、周波数の異なる東日本と西日本では、それぞれ別形式の車両が導入されました。

最初に登場したのは近郊形電車で、常磐線向け近郊型電車の401系(50Hz対応)で、1960年に量産先行試作車4両編成2本が製造され、1961年の取手-神立間の交流電化開業時に営業運転を開始しました。

一方、九州地区では421系(60Hz)が、山陽本線小郡(現:新山口)-下関間の直流電化と鹿児島本線門司港-久留米間の交流電化に合わせ、401系と同じ1960年に先行試作車として4両編成2本が製造されました。

401系と421系は、基本的には同一設計でしたが、これらの形式が開発された1950年代末期は、主変圧器・主整流器などの50/60Hz両用交流機器がまだ開発されておらず、機器の統一ができなかったことから、別形式とされました。

その後、両形式の出力増強版である403系(50Hz用)・423系(60Hz用)がそれぞれ登場しましたが、このときも上記の理由から別形式となりました。

交流電化区間の延伸により、スピードアップを図るために交直流形の急行形電車・特急形電車も導入されるようになりましたが、これらについても同様に周波数により別形式とされました。

急行形電車については、当時客車列車で運転されていた東北本線の準急「みやぎの」(上野-仙台間)の電車化を目的として、1962年に451系(50Hz用)が登場し、翌1963年には471系(60Hz用)が北陸本線で急行「加賀」「ゆのくに」(大阪-金沢間)や準急「越前」用として運用を開始しました。

その後、451系・471系の増強版として1963年に453系(50Hz用)が、1965年に473系(60Hz用)が登場、さらに1965年には抑速ブレーキの装備された455系(50Hz用)、475系(60Hz用)が登場しましたが、いずれも基本設計が同一ながら周波数の違いにより搭載機器が異なり、同じ形式とはなりませんでした。

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↑ 鉄道博物館に静態保存されるクモハ455。東日本向け(50Hz用)です。