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【鉄道車両基礎講座】 その10 交直流電車の形式統一と、その後の交直流・交流形電車

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 ↑ 50Hz/60Hz対応となった485系の登場により、交直流電車の形式統一が可能になりました。

485系特急形電車の登場と交直流電車の形式統一化

 交流電化区間の延伸とこれに伴う客車列車の電車化は、大幅な車内設備の改善やスピードアップを実現し、鉄道の近代化や通勤区間の拡大に大きく貢献していました。

しかしながら、当時の交直流電車は交流電気の周波数の違い(50Hzまたは60Hz)により形式を分けて製造しなければならず、車両の製造や運用・保守などの面で余計な手間とコストがかかっていました。

このことは、近郊型・急行形のみならず、その後登場した特急形電車でも同様でした。

「こだま型」151系の登場により始まった日本の特急形電車は、その後の東海道・山陽新幹線の開業・延伸と交流電化区間の延伸などにより、その活躍の場を飛躍的に広げていきました。

1964年12月、北陸本線金沢-富山間の交流電化開業に合わせて、481系特急形電車が登場し、大阪-富山間の特急「雷鳥」と名古屋-富山間の特急「しらさぎ」で運用を開始しました。

481系は、181系に準じたデザインと車内設備を備えた初の交直流形特急電車となりましたが、交流機器は471系がベースで60Hz専用でした。

翌1940年には東北本線初の電車特急「やまびこ」「ひばり」が運転を開始されましたが、こちらは50Hz区間となる為、導入された交直流形特急電車は481系をベースとしながらも、電動車は形式が分けられ483系となりました。

ところで、交直流型電車・または交流電車の場合は、架線から取り込む交流電気の高い電圧を降圧して(電圧を低くして)おり、これを行うため装置、主変圧器を搭載しています。

50Hzと60Hzの異なる周波数で使用した場合、特に大きく問題となったのは、主変圧器が交流電気を降圧する際に起こる発熱と、温度上昇の対策として主電動機の冷却用として使用されているオイルポンプや電動送風機でした。

60Hz用の機器を50Hzで作動されるとその能力は低下し、50Hz用の機器を60Hzで使用するとその発熱に対する機器が耐えられませんでした。

その後、これらの条件を満たし、50Hzでも60Hzでも必要な電気の量(定格容量)が確保できる主変圧器(MT14)が開発されたことから、 これを採用した電動車ユニットが新製され、50/60Hz対応の485系交直流形特急電車として、1968年のダイヤ改正から運用を全国で運用を開始しました。

 485系で実現した50Hz/60Hz対応の主変圧器は急行形電車(475系)や近郊形電車(415系)にも搭載され 、国鉄の交直流電車は、周波数の違いで区別することなく、車両形式の統一が図られるようになりました。

 

JR発足後の交直流・交流型電車

国鉄時代の在来線では、交流区間のみの運用であっても交直流電車を導入することが多く、交流形電車は交流区間しかない北海道で運用される711系や781系などを導入した程度であまり作られませんでした。

しかしながら、1987年の国鉄分割民営化が実施されJR各社が発足すると、車両の運用が局地化し、各社がそれぞれ地域の事情にあった車両を独自に導入するようになり、交直流電車については、全国的な配置転換もなくなったことから、50Hz/60Hz対応(3電源対応)の電車を技わさわさコストをかけて作る必要もなくなりました。

JR発足後に新たに新製された旅客用交直流電車では、3電源対応の車両はJR東日本のE653系が72両のみとなっています。

JR北海道JR九州では、もっぱら交流電車を導入するようになり、JR東日本でも、交流区間しかない東北地方では、地域ローカル輸送に使われていた交直両用電車や客車など、老朽車両の置き換えでは、交流形電車を導入しています。

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↑ 2012年に登場したJR東日本のE657系交直流電車は、交流区間は50Hzのみ対応しています。

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↑ JR東日本発足後に東北ローカル地区に投入された701系は交流形電車となりました。

民間私鉄の交直流・交流形電車

民間私鉄については、そのほとんどが直流電化・直流電車によって運用されていますが、元JRの交流電化路線が経営分離により第三セクター方式で運営されている鉄道では、交直流電車や交流形電車が運用され、JRから譲渡された車両やJRの仕様に準じで新製された車両などが使用されています。

東北新幹線新幹線の延伸に伴い平行する在来線の経営分離によって開業した、青い森鉄道」・「IGR岩手銀河鉄道では、全区間が交流電化(元東北本線)であり、交流形電車が運用されています。

一方、北陸新幹線延伸によって発足した鉄道のうち、「あいの風とやま鉄道」・「IR いしかわ鉄道」では、移管された路線(元北陸本線の一部)が交流電化ですが、こちらは交直流電車が使用されています。

非電化であった元国鉄丸森線を引き継ぎ路線の延伸と電化を行った阿武隈急行や、仙台空港アクセス線として開業した仙台空港鉄道は、ともに交流区間である東北本線への直通運転を行うことから、直流ではなく交流による電化を行い、交流形電車を新製導入されました。

なお「阿武隈急行」は、民間私鉄において交流電化を採用した最初の事例となります。

つくばエクスプレス(首都圏新都市鉄道)」は、JRの交流区間との直通運転などはありませんので、通常なら全線直流電化が望ましいのですが、守谷駅以北の区間茨城県石岡市にある気象庁地磁気観測所への影響から直流電化が行えず、交流電化されています。

(直流電化における地磁気への影響については、別の機会に触れる予定ですが、常磐線の取手以北が交流電化となっているのも同様の理由です。)

そのため、「つくばエクスプレス」では交直流電車を導入し全区間で運用していますが、コスト削減のため保有車両の一部を直流電車とし、守谷以南の直流区間のみの運用で使用しています。

その他、新交通システムの一部(ゆりかもめニュートラムポートライナー他)では低電圧の交流により電車が運用されています。

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↑ 「阿武隈急行」JR東北本線乗り入れを行うため、交流形電車が導入されました。

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↑ 直流区間と交流区間を持つ「つくばエクスプレス」TXの2000系は交直流電車です。