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【鉄道車両基礎講座】 その14 直流電動機の励磁方式

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↑ 抵抗制御方式では直流直巻電動機を使用するのが一般的でした。(写真は2015年に引退した京成3300形です。)

励磁とトルクについて

直流電動機は、その中でくるくると回転する「回転子」と、その周りで回転子を回す力を発生させる「固定子」から構成されています。

直流電動機では、回転子に「電機子」、固定子に「界磁」それぞれ呼ばれる電磁石が用いられています。

ここまでが、前回までで説明した内容です。

ところで、電磁石のコイルに電流を流して磁束を発生させることを「励磁(れいじ)」と呼びます。

直流電動機は.この励磁方式の違い(界磁と電機子の配列の違い)から、「直巻電動機」「分巻電動機」「複巻電動機」などに分類することができますが、これらには、その直流電動機の持つトルクや回転速度などの特性に違いがあります。

ここで、「トルク」の意味について説明します。

「トルク」とは電動機の回転する軸(回転子)を動かそうとする力(回転させようとする力)のことで、回転力といわれます。

例えば、自転車に乗るときには、一般的にはペダルを踏んで自転車を前進させますが、このペダルを踏む(ペダルを押す)力が「トルク」になります。

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自転車の動きの中で、最初の出だしはペダルは重く、それなりにペダルを踏む力が必要になりますが、これが「始動トルク」です。

自転車か動き出しある程スピードが出てくると、ペダルを踏む力がそれほど必要ありませんので、トルクは少なくて済むということになります。

直巻電動機

直流電動機内の電気の回路の中で、界磁と電機子を直列に配置したものを「直巻」といいます。

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直巻の大きな特性としては2点あり、1つは「低速で大きなトルクを生み出すこと」です。

ここで、自転車を漕ぐときの様子を考えて欲しいですが、漕ぐ力が一番必要となるのは最初に乗るとき、自転車が動き始めるときです。

自転車が動き始めてしまえば、ある程度は惰性で前進するので、足で漕ぐ力は少なくて済むようになります。

鉄道車両も同様で、始動時には牽引重量や出発抵抗などの負荷が非常に高く、始動時に大きなトルクが必要となり、こうした直巻電動機の特性はかなり有効です。

直巻のもう1つの特性としては、「負荷が下がるとか回転速度が速くなる」ということです。

そのため、電動機を含む電気回路に抵抗を設け制御すること(=抵抗制御)により、電動機の回転やトルクを自由にコントロールすることができます。

負荷を下げれば、無制限に近い状態で回転が上がり、広範囲な回転速度領域を持つことができます。

このため、停止状態から高速走行までの幅広い速度で運行し、勾配や牽引重量などの条件により負荷の変動が大きい鉄道車両には非常に適した特性であることら、直巻電動機は抵抗制御との組み合わせで、長きに渡り、電気機関車や電車用の主電動機として採用されてきました。

 

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↑ 201系が登場する以前の国鉄の電車は抵抗制御方式で、直流直巻電動機が使用されてきました。

分巻電動機

界磁と電機子を並列に配置したものを「分巻」といいます。

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直巻では低速で大きなトルクをさせたのに対して、分巻では回転数によるトルクの変化が少ないのが大きな特性です。

さらに、並列配置により励磁電流は一定となりますので、回転速度は負荷の影響を受けずにほぼ一定です。

回転速度は、界磁巻線に流れる電流を加減する界磁制御(界磁巻線に直列に可変抵抗を入れる)によって容易に行うことができることから、工作機械や各種自動制御などで採用されています。

界磁制御による回転数の制御範囲は狭く、この点でも直巻電動機の方が優位となっています。

直流分巻電動機は、高周波分巻チョッパ制御方式を採用した東京メトロ01系などで使われています。

(チョッパ制御については、別の機会にあらためて説明します。)

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↑ 丸ノ内線用の02系も、導入当初及び未更新車では直流分巻電動機が使用されています。

複巻電動機

界磁と電機子を直列に配置する直巻、並列に配置する分巻に対して、これら双方の配置を合わせ持つのが「複巻」です。

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つまり、直列に繋ぐ直巻界磁巻線と並列に繋ぐ分巻界磁巻線の二つの界磁巻線を持つ形となります。

直巻と分巻の中間的な特性となりますが、構造が複雑になりその分重量も重たくなるというデメリットがあります。

複巻電動機は、インバータ制御が一般的になる以前は、界磁チョッパ制御との組み合わせで、私鉄の電車を中心に広く使われていました。

(インバータ制御、界磁チョッパ制御などについても、別の機会にあらためて説明します。)

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↑ 西武2000系も一部の更新車等を除き、界磁チョッパ制御で直流複巻電動機が使用されています。

このほか、界磁を別電源とする「他励磁電動機」もありますが、その特性は分巻電動機に類似したものとなります。