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【鉄道車両基礎講座】 その16  直並列組み合わせ制御

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↑ 国鉄183系・189系も抵抗制御車。直並列組み合わせ制御も併用していました。

前回は抵抗制御について説明しました。

抵抗制御では、架線から主電動機に至る電気回路に抵抗を入れて電圧を抑制していますが、これにより生じた余分な電力は熱となり捨てられてしまいます。

特に、起動時は主電動機にかかる印加電圧を最大限に抑え、電力の大半が抵抗器によって消費されています。

この無駄な電力の消費は進段に伴い減少しますが、全体として電車の力行時に消費される電力の半分近くは無駄な熱損失となってしまいます。

この熱損失は抵抗制御では避けられないことではありますが、これを低減する方法として、直並列組み合わせ制御が行われています。

直列接続と並列接続の電圧

ここで、直列回路と並列回路における電圧について、中学校の理科で教わったことを復習します。

例えば、同一の抵抗を2個直列に配置した電気回路を作り、10Vの電圧で電気を流したとします。

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この場合、電圧はそれぞれの抵抗に振り分けられますが、2個の抵抗は同一なので、1個あたりの印加電圧は5Vとなります。

一方、これらの抵抗を並列に配置した電気回路を作り、、同様に10Vの電圧でで電気を流した場合を考えてみます。

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電圧はどの位置を測っても同一で、2個の抵抗それぞれの印加電圧は、10Vとなります。

このように、同じような抵抗であっても、その配置によって各抵抗の電圧は異なり、直列配置よりも並列配置の方が各抵抗にかかる印加電圧は大きくなります。

言い換えると、各抵抗の配列を直列から並列に変更することで、それぞれの印加電圧を変更できる(電圧値を大きくすることができる)ということになります。

直並列組合わせ制御

直並列組み合わせ制御ではこの考え方を利用します。

電動機は電力を消費する抵抗であると考えれば、こららのことが当てはまります。

一般的に、電気車は複数の主電動機が使用されます。

この主電動機が直列に配列されている場合、並列に変更すればそれぞれの主電動機の印加電圧を上げることができます。

例えば、4個の同一の主電動機を制御するユニットの場合、全て直列に配置すれば各主電動機には電源電圧の4分の1しか作用しませんが、2個ずつの並列にすると、各電動機の印加電圧は電源電圧の2分の1となります。

この特性を利用し、起動時には直列配置にて印加電圧を抑え、速度が上がった段階で並列配置に切り替えることで、印加電圧を上げて列車の速度を上げることができます。

この直並列組み合わせ制御では、ユニットの主電動機の数に限りがあることから、2段(または3段程度)の電圧制御しかできませんが、抵抗制御と組み合わせることにより、制御段階を増やすことが可能となり、進段の際の衝撃緩和にもつながります。

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国鉄103系や113系などでは、1ユニットあたり8個(2両分)の主電動機が使用されていますが、単純に表すと上の図のような配置になります。

この図の中ではK1からK3の接触器(スイッチ)が配置されていますが、これらのオン・オフによって、直列・並列の切り替えを行います。

始動時はK2の接触器のみが入っていて、電気は主電動機M1からM4を通り、K2を経由して主電動機M4からM8を通り、直列配置となります。

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まずはこの直列配置で抵抗制御の進段が行われ、電気車が加速します。

進段が進み全ての抵抗器の短絡が終わった後、接触器K2が切れるのと同時に接触器K1・K3が入り、電気が主電動機M1からM4と、主電動機M5からM8に至る2つのルートができます。

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厳密には、接触器K2が切れるタイミングは、接触器K1・K3が入る時より少し遅く、わずかな時間ですが全ての接触器が入っている状態となりますが、これを「渡り」と言います。

そして接触器K2が切れると、完全な並列配置への移行が完了し、電気車は引き続き抵抗制御により進段を続けます。

永久直列回路

抵抗制御車においては直並列組み合わせ制御の併用が一般的ですが、必ずしもそうとは限りませんでした。

1981年以降、国鉄が地方ローカル線向けに導入した105系では、投入線区の輸送量が少なく列車の編成は1M1Tの2両編成が基本とされました。

主電動機は当時の国鉄通勤型電車の標準であった103系と同様のMT55形4台が1ユニットあたり搭載されましたが、主回路(主電動機に至る電流が直接流れる回路)は簡素化と小型化を図り、永久直列回路とされ、直並列組み合わせ制御は採用されませんでした。

抵抗制御方式において、必ずしも直並列組合せ制御が併用されたということではありません。

 

次回以降では、「弱め界磁制御」について説明します。