↑ 郡山駅を通過する、高速コンテナ列車を牽引するEH500量産車。
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概要
EH500 は、JR貨物が 1997 年から製造するH形の交直流形電気機関車で、「ECO-POWER 金太郎」の愛称がついています。
青函トンネル開通後の本州と北海道の間の貨物輸送量の伸びを背景に、直流区間を走る EF65・黒磯以北の ED75・青函トンネル専用の ED79 などの老朽化機関車置き換え用として開発されました。
東北本線藤田-白石間及び十三本木峠の急勾配・青函トンネルの連続勾配を走行するため、高い粘着性を軸重を増大させずに確保する必要があったためと、既存の重連で運用していた長大貨物列車を単機で運用することで線路保有会社に支払う線路使用料を軽減させるため、H形機とされました。VVVFインバータ制御で、交流区間では交流 20,000V を主変圧器から主変換装置を介して交流誘導電動機を駆動し、直流区間では直流 1,500V の主変換装置のインバータ部に電流を導き、交流誘導電動機を駆使しています。
この主変換装置1台で2つの主電動機を制御する 1C2M 方式となり、これを4基搭載して台車単位の制御を行っています。
主電動機( FMT4 )は、1時間定格出力 565kW のかご形三相誘導電動機で、短時間出力は 4,520kW に設定されていますが、通常は直流区間は 3,400kW 程度、交流区間では4,000kW 程度で運用されています。
駆動方式は吊り掛け式で、ブレーキ装置は電気指令式空気ブレーキに急勾配区間での走行を考慮して抑速発電ブレーキを併用、台車はボルスタレス方式となっています。
電気方式は三電源方式として製造されているため、幅広い運用が可能となっており、2013 年2月現在では仙台総合鉄道部に試作車を含む 70両、門司機関区に 12両の配置となっていましたが、 2019年に 65 号機が門司区に転属となり、門司機関区は 13両の体制になりました。
仙台総合鉄道部所属の機関車は、首都圏-北海道連絡の高速貨物列車を主体に運用されていて、その他常磐線や秋田貨物・東海道線の相模貨物などにも顔を出しています。
特にメインの東北本線の直通運用(首都圏-五稜郭)では走行する運用区間の長さから走行距離毎の点検頻度が増え、一時期が故障も増えたことから稼働率著しく低下して車両不足が発生していました。
そのため、走行距離を抑えて最小限の車両数で運用するため、EH500 の運用を黒磯以北の交流区間としてそれ以南の直流区間を EF210 などの直流機関車で牽引するパターンが増えていました。
2016 年3月の北海道新幹線函館ン北斗延伸に伴い、青函トンネル区間が新幹線対応の交流 25,000V に昇圧され、保安装置も変更されたことから、この区間がの運用はすべてEH800 に変更され、EH500 の北限は青森となりました。
また、黒磯駅での機関車交換を中止し、殆どの列車が隅田川や新鶴見など首都圏まで直通するようになったため、首都圏での EH500の運用が拡大しました。
門司機関区所属のEH500 については、2007年から運用を開始し、現在は幡生操車場-福岡貨物ターミナル駅間で 1,300トン貨物列車の運用牽引などを中心に運用されています。
↑ 門司機関区に配属中のEH500-20号機。九州地区でもEH500は運用されています。
↑ 五稜郭駅に停車中のEH500-25。北海道新幹線の開業に伴い、2016年3月以降、青森以北の運用はなくなりました。
↑ 五稜郭に乗り入れていたEH500-41。
↑ こちらも、五稜郭で撮ったEH500-41です。
↑ 郡山駅構内で休む、EH500-55。
初期型
↑ EH500も初期車(1次車・2次車)は、3次車以降とは外観も異なります。
EH500の量産化は、試作機での試験成績を踏まえて 2003年に開始され、1次形(量産先行車)として1・2号機が製造されました。
試作機では1基のみの搭載だった主変圧器は各車体に1基づつ(計2基)搭載され、これに伴い内部機器の配置も変更されました。
車体側面のルーバーは天地寸法が拡大され、採光窓も1車体あたり片側2組(×2車体)となりました。
外部塗装は若干暗めの赤紫で、前面帯は形式番号直下に配置され試作機よりも太くなりました。
1・2号機は登場時は「ECO-POWER 金太郎」のロゴマークは落成時にはなく、2次側の登場した後に表示されました。
2次形(3-9号機)は、2000年3月から 2001年1月にかけて製造されましたが、着雪による照度低下対策として、前照灯の設置位置が1次車よりも上方(前面帯部分)に変更されました。
「ECO-POWER 金太郎」のロゴマークは、この2次車以降から新製時に表示されるようになりました。
↑ 2次車の7号車。前照灯は前面帯部分に設置されています。
↑ 量産先行車に1号機(1次形)。試作車ともその後の量産車とも外観は異なります。
↑ 1号機側面の様子 その1
↑ 1号機側面の様子 その2
↑ 1号機 側面の様子 その3
↑ 1号機側面の様子 その4
3次車以降増備車(2001年~)
↑ 3次以降増備車では外観の塗装が変更されました。
2001年に増備された3次形以降の増備車(10号車以降)ではマイナーチェンジされ外観が変更されました。
車体の色は明るめの赤に変更され、運転台周りの黒色塗装は窓枠部分のみに縮小し、前面帯は前照灯外線で切れた状態となりました。
15号機以降では、前照灯カバーの形状が変更され、白線が僅かに細くなっています。
更に、73号機以降からは後尾灯が電球式から LED式に変更されました。
↑ 郡山駅の構内で仙台方面に向け出発を待つ27号機とタキ専用列車
↑ 運転台付近側面の様子。(第2エンド)
↑ 側面と描かれたJRFのロゴマーク。
↑ 愛称である金太郎のマークも描かれています。
↑ 運転台付近側面(第1エンド)の様子。
↑ 側面全体の様子。